消防士を目指す人におすすめの資格を現役消防士が教えます

消防士になるには

【現役消防士が解説】採用試験で差がつく!消防士に本当におすすめの資格7選


「倍率が高い消防士の採用試験で、少しでも有利になりたい!」と考えている受験生は多いでしょう。

他の受験生との少しの差が合否を分けることもあります。筆記や体力試験だけでなく、実は資格を持っているかどうかが、合否を分ける「隠れた武器」になることがあるのです。

例えば、東京消防庁はあらかじめエントリー時に申請できる資格を定めており、保有する資格やスポーツ・音楽の経歴に応じて面接時に加点評価が行われます。

  • 資格各種(大型自動車免許、救急救命士など)
  • 語学
  • スポーツ経歴(全国出場、プロ経験)
  • 音楽(全国金賞)

資格取得のメリットは大きく分けて2つあります。

1. 採用試験:面接官に「お!」と目に留めてもらい、有利に進められる
2. 入職後:同期より早く仕事を任され、昇進や仲間の信頼に繋がる。

消防士になってからの数年間は覚えることが多く、なかなか資格取得のための勉強時間を確保できません。そのため、事前に資格を持っておくことで、すぐに仕事を任せられるという大きなアドバンテージになります。

この記事では、現役消防士である私が、採用に有利消防士になってからも役立つ、本当におすすめの資格を7つ紹介します!

救急救命士 おすすめ度:★★★★★ 難易度:★★★★★

paramedic

消防士採用にもっとも有利なのは、救急救命士です。

近年、消防署における災害事案のほとんどを救急事案が占めており、その出動件数は毎年右肩上がりに増え続けています。現在は国からの指針により、すべての救急車に救急救命士が乗務することとされているため、最も需要のある資格と言えるでしょう。

救急出動件数及び搬送人員数の

実際に私も救急救命士として救急車に乗務していますが、出動も多く、市民の役に立っている実感があるので、すごくやりがいのある仕事です。

救急救命士とは?(仕事内容)

救急救命士は、救急車内や現場で、医師の指示の下、重度傷病者に対して口の中にチューブを入れ気道を確保したり、点滴や薬剤投与などの特定行為(救急救命処置)が行える国家資格です。

また、救急隊員への訓練や教育を行うなど、隊のレベル向上にも貢献します。一般に医療従事者にあたるため、医師や看護師など、他の医療系資格を持つ方々と仕事をすることもあります。現在、病院などの医療機関でも医療行為ができるよう法整備が進められています。

どうやって取る?(取得方法・難易度)

受験資格を得るために、大学や専門学校で指定の単位を取得した上で、国家試験に合格する必要があります。

国家試験の難易度は、看護師や理学療法士などの他の医療系資格と比べると**「範囲が少ない」**ため、比較的取得しやすいと言えます。


大型自動車免許 おすすめ度:★★★★ 難易度:★

消防署にはポンプ車やタンク車、救助工作車、梯子車など、中型から大型車両がたくさん配備されています。当然それらを運転するためには運転免許証が必要です。

大型まで免許を取得しておくと、採用試験で有利になるばかりか、早い段階で機関員を任命される可能性も高くなるでしょう。

大型免許をとるには

現行の法律では、自動車学校に行き、教習を受け、試験を受ける必要があります。また、費用がおおよそ30万円位掛かります。

採用試験の前に取得しておくと有利ですが、30万円は高いですよね。市町村によっては補助制度があるようなので、消防士になってから取ることも考えていいと思います。

ちなみに私は採用後に取得しましたが、取る時期が遅かったので、同期のほうが先に機関員に任命されて悔しい思いをしました。機関員に任命されるということは、高額な消防車を任せられると組織に認められることでもあるので、とても羨ましかったです。


第2級陸上特殊無線技士 おすすめ度:★★★ 難易度:★★

消防無線でやり取りするのに必須の資格です。出動した際に指令センターと交信するなど、車両積載の無線機や現場に持ち込む携帯型無線機の操作に必要となります。

陸上特殊無線技士をとるには

取得方法は2つあります。

  • 国家試験を受ける方法:学校や独学で勉強して試験を受ける。
  • 養成課程を受講する方法:国の認定を受けた講習会を受講し、修了試験に合格すると国家試験が免除になる。

国家試験を独学で受けるのが、一番安いです。私は消防学校が授業の一環で養成課程を受講しました。

私のように消防学校で受講できるケースもあります。資格をあらかじめ取得していた方はその間寮でゆっくり休憩していたそうです。いいですね。

養成課程の修了試験は簡単です。講習会で試験に出るところをすべてレクチャーしてくれます。勉強に自信がないのなら、養成課程を受けられることをおすすめします。


玉掛け技能講習 おすすめ度:★★★ 難易度:★

玉掛けとは、クレーンなどに物をかけ外しすることをいいます。たいていの救助工作車には移動式クレーンが装備されており、現場で車両などを吊り上げる作業に使う資格です。

玉掛け技能講習は、都道府県労働局長登録教習機関が行う技能講習を受ける必要があります。わたしは陸上特殊無線技士のように消防学校で取得しました。


潜水士 おすすめ度:★★★ 難易度:★★

潜水士は海猿で有名ですが、消防も川や池などの災害に備え、水難チームを編成しています。仕事として水中で活動するため、この資格が必要です。

ここで言う潜水士は、海猿に出てくるような厳しい潜水士養成課程のことではなく、学科だけで取得できる国家資格を指します。消防のダイバーは川や池で潜ることが多く、そのような場所で訓練を積み重ねています。

潜水士をとるには

試験は、1月、4月、7月、10月に各地の安全衛生技術センターで行われます。高気圧障害の危険性などに関する知識の習熟を目標としており、**実技試験はありません。**

要するに一回も潜ったことがない人でも、試験に合格すれば潜水士の資格を取得できます。


小型移動式クレーン運転士 おすすめ度:★★★ 難易度:★★

救助工作車はクレーンを装備しており、その操作のために必要な資格になります。

労働安全衛生法に基づく運転技能講習を修了することで資格を得ることができます。


危険物取扱者(乙四など) おすすめ度:★★ 難易度:★★

有利になるかは正直微妙ですが、履歴書に書ける立派な資格です。特に乙四はガソリン等の取り扱いが含まれているため、消防職員としての基礎知識を得ることができます。

消防士の中には稀に危険物取扱者をコンプリートしている方がいます。仕事に使うというよりも知識を身につけるために受験していることが多いです。


予防技術検定 おすすめ度:★★ 難易度:★★★

近年、消防署でも重要度が高まってきている資格です。大学生や専門学生でも受験することができ、当然持っていることは有利になるはずです。

検定には、以下の3種類があります。

  • 設備
  • 危険物
  • 査察

特に、消防の現場で働きたい人は、査察がおすすめです。予防課で働きたい人は設備危険物がおすすめです。


まとめ

fire dept

救急救命士は採用試験を有利にする王道の資格です。

車両関係の資格は持っていないと操作したり運転できないので、受験するときに持っていると有利になりますし、採用後も早く仕事を任せられるきっかけになるでしょう。

危険物取扱者の資格なども消防士としての基礎部分にもなりますので、十分アピールになります。