【消防士必携】巻き結びの結び方・利き方を徹底解説!現場で失敗しない基本と応用

巻き結びを制する者は 消防を制する 消防学校のいろは

【消防士必携】巻き結びの結び方・利き方を徹底解説!現場で失敗しない基本と応用

ここでは、消防士にとって最も重要で、最も使用頻度の高いロープ結索である「巻き結び」について徹底的に解説します。

消防のロープ結索は数多くありますが、災害現場、訓練、日常の作業で最も使う結索といえば、間違いなくこの「巻き結び」です。有名なもやい結びよりも使うといっても過言ではありません。

現場で**巻き結び**にもたつき、**資機材が確実に固定できなければ、自分や隊員の命に関わります**。**消防士のロープ**ワークの基本中の基本である**巻き結び**を素早く、正確に使いこなすことは、消防士として活動する上での基本中の基本です。ぜひこの記事で**巻き結び**の基本と**応用テクニック**をマスターしてください!

【参考】消防学校でのロープ結索を学ぶ

なぜ消防士は巻き結びを完璧にマスターすべきなのか?

https://www.instagram.com/p/CmYtu7EPsHo/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

ロープ結索は**消防の基本スキル**ですが、その中でも「**巻き結び**」は**靴ひもを結ぶ蝶結びくらい**多用されます。**三連梯子の固定や、水平梯子操法、救助活動における資機材の仮止め**など、その出番は非常に多いです。

巻き結びの完成形を確認

消防士が結んだ巻き結びの完成形
これが**巻き結び**の完成形です!

巻き結びの基本的な結び方(手順)

写真を見ながら、基本となる結び方をマスターしましょう。

手順1:対象物に巻き付けてクロス

巻き結びの手順1:対象物にロープを巻き付けて本線と端末をクロスさせる様子
結着したい対象物にロープを巻き付け、**本線(主索)に端末をクロスさせます**。この**端末が本線に巻き付く**形が**巻き結び**の肝です。

手順2:この特徴的な形を覚える

巻き結びの手順2:クロスした部分の画像
この形が、**巻き結び**の中核となる部分です。確実に覚えましょう。

手順3:緩み防止の半結び(止め結び)

巻き結びの手順3:半結びの途中の様子
巻き結びの手順4:半結びを完了した様子
消防では、結び目が**活動中に**ほどけないよう、最後に必ず**半結び(止め結び)**を取ります。これで**安全な巻き結び**の完成です。

【重要】巻き結びの「利き」をマスターする:力を加える方向の考え方

**巻き結び**は、ロープに**力が掛かる方向**によって、結び目の作り方(巻き始める方向)を変える必要があります。この「**利き方**」を理解することが、器具結索などで**結び目を絶対に緩ませない**ために非常に重要になります。

※ここでは分かりやすくするため、半結びなしで解説します。

力の方向:引く側が端末を押さえつける構造

**巻き結び**は、「**引く側のロープ(主索側)が、ロープの端(端末側)を押さえつける**」ことで強固に締まる構造になっています。この構造を常に意識しましょう。

例:右方向に引っ張りたい場合

力が右にかかるように結んだ巻き結びの利き方
この画像は、ロープを**右に引っ張りたい**場合の結び目です。ロープが右に引っ張られると、その力が端末側のロープをしっかり押さえつけ、緩みにくくなります。
力が加わる方向に巻いてしまった巻き結びの悪い例
**悪い例**では、引っ張る側のロープが端末を**押さえ込まず**、結索部が開いてしまっています。これでは力が加わった際に**結び目が滑り、緩む**危険があります。**巻き始めの方向**を確認しましょう。

巻き結びの基本原則:「力を掛けたい方向と逆から巻き始める」

力の掛かる方向をコントロールするには、以下の原則を覚えましょう。

**「力を掛けたい方向と、逆に巻き始める」**

  • **左方向**に力を掛けたい場合は、最初に**右へ**巻きます。
  • **右方向**に力を掛けたい場合は、最初に**左へ**巻きます。
巻き結びの手順1:対象物にロープを巻き付けて本線と端末をクロスさせる様子
巻き結びの手順2:クロスした部分の画像

応用訓練:裏側からの結索と素早く結ぶ「輪」の作り方

応用1:裏側からでも結べるように訓練しよう

巻き結びの応用訓練:障害物の裏側からロープを回して結ぶ練習
**巻き結び**を完璧にマスターするには、**結着物の裏側からロープを回して作る練習**も欠かせません。

現場では、常に自分の手元で結べる状況とは限らないからです。よほど器用な人でなければ最初は難しいはずですので、繰り返し練習して身体に覚え込ませておきましょう。

応用2:素早く結ぶ「輪」を作る方法

**巻き結び**は、対象物にロープを通さず、ロープの中間に輪を作ってから通す方法もあります。現場で**迅速に結着したい場合**に非常に便利です。

巻き結びの輪の作り方1:ロープに二つの輪を作る
1. ロープに**二つの輪**を作ります。
巻き結びの輪の作り方2:二つの輪を重ねる
2. 二つの輪を**重ねます**。
巻き結びの輪の作り方3:そのまま対象物に通す
3. そのまま対象物に通します。
巻き結びの輪の作り方4:素早く結着が完了した様子
4. これで**巻き結び**の完成です。

このように、**巻き結び**には複数の結索方法があります。基本の結び方と、この応用的な結び方を使い分け、現場で迅速に対応できるようにしておきましょう。


まとめと次のステップ

**巻き結び**は、三連梯子の固定から資機材の仮止めまで、消防活動の**あらゆる場面で命綱となる基本中の基本**です。

  • **基本の手順**をマスターし、現場で反射的に結べるようにすること。
  • **「利き」**の原則(**力を掛けたい方向と逆に巻き始める**)を理解し、**ロープが絶対に緩まない構造**を作れるようになること。
  • **素早く結ぶ輪の作り方**、**裏側からの結索**といった応用も訓練し、いかなる状況でも対応できる**「現場力」**を養うこと。

これらを意識して、日々の訓練に取り組んでください。**巻き結び**を制する者が、消防活動の成功を制すると言っても過言ではありません!