消防士に英語は必要なのか?|国際化が進む現場と採用の変化
「英語が得意なんだけど、救急隊員として外国人対応をしたい」
「英語を活かした仕事に就きたい」
そんな方に向けて、今回は消防士と英語の関係、そして近年変わりつつある採用の実情について、現場経験を交えて解説します。
私は英語が話せない救急隊員です
正直に言うと私は英語が全く話せない、いわゆる「ジャパニーズオンリー」の救急隊員です。それでも勤務する某市ではベトナム人やブラジル人などの外国人住民が増え、外国人からの救急要請が増加しています。
さらに国際イベントも続きます。例:
- 2019年:ラグビーワールドカップ
- 2020年:東京オリンピック
- 2025年:大阪・関西万博
- 2026年:名古屋アジア競技大会
こうした流れで、英語ができる消防士・救急隊員の需要が高まっているのが現状です。
消防士に英語が必要な理由
主な理由は次の3点です。
- 観光客の増加
- 外国人労働者の増加
- 対外的なアピール
観光客の増加
国際イベントや観光客増加により、日本語を話せない人が救急要請をする場面が増えます。救急現場での英語対応は、迅速な対応・誤解の回避・適切な搬送先選択に直結します。
外国人労働者の増加
地方でも外国人労働者や留学生が増えています。日本語が分からない方が重症で来た場合、言葉の齟齬で判断ミスが生まれる可能性があり、英語や他言語のスキルは現場で重宝されます。
対外的なアピール
「英語で対応できる救急隊がいる」ことは、外国人にとっての安心材料になり、自治体の国際的信頼性向上にもつながります。
現状:英語対応の仕組みと課題
現場で実際に行われている対応例と課題です。
- 都市部(例:東京消防庁)では外国語対応の救急隊を編成
- 多くの自治体では多言語対応シートや通訳電話を活用
- ただし、意識状態が悪い場合や重症例では指差しシートが使えず課題が残る
東京消防庁の取り組み
東京消防庁はオリンピックを契機に外国語対応チームを整備し、語学研修や採用時の優遇(語学資格の加点)などを行っています。
地方での現状
地方自治体では外国人要請がまだ少数のため大規模な語学研修を実施していないケースも多く、通訳サービスに頼る実務が中心です。
採用要件の変化:国籍要件が外れる自治体も増加
これまで多くの自治体では「日本国籍を有する者」が採用条件でしたが、近年は
が増えています(特に大都市や観光地を抱える自治体)。
背景には、外国人住民・観光客の増加、国際イベントの開催、多様な人材を活かす流れがあります。
永住者や特別永住者、条件付きで留学生などが受験可能となるケースもあり、英語力を持つ外国籍の受験者が消防組織の戦力になるという認識が広がっています。
※自治体ごとに受験資格は異なります。受験を検討する場合は各自治体の採用情報を確認してください。
まとめ:英語は消防士の“武器”になる
結論:消防士に英語は必要です。
ポイント:
- 国際イベント(万博・アジア競技大会等)の開催で需要が拡大
- 外国人住民の増加で地方にも対応ニーズが広がる
- 採用要件の多様化により外国籍の受験チャンスも増加
英語が得意な方は、語学力を武器に東京消防庁や政令指定都市、国際対応を強化している自治体を目指すと有利です。語学力は消防現場で確実に強み(=武器)
よくある質問(FAQ)
Q. 消防士になるのに英語は必須ですか?
A. 必須ではありませんが、観光客や外国人対応が増えているため英語力があると現場でも採用でも有利になります。
Q. 外国人でも消防士になれますか?
A. 一部の自治体では国籍要件を外しており、永住者や特別永住者などの受験が可能なケースがあります。自治体ごとの条件確認が必要です。
Q. どのくらいの英語力が現場で役立ちますか?
A. 日常会話レベル(受け答え・症状確認ができる程度)で十分役立ちます。TOEICや英検の資格が加点対象になる自治体もあります。
Q. 英語が活かせる消防本部はありますか?
A. 東京消防庁や大阪・政令指定都市の消防では語学対応に積極的な取り組みが見られます。求人要項で語学の評価方法を確認するとよいでしょう。