【熱中症対策】消防士から学ぶ暑熱順化

消防士の仕事

現役消防士、救急救命士の凜(@mappletour)です。

この消防士ブログで伝えたいこと
消防士を目指す方々の架け橋になりたい。

近年、温暖化が進み、熱中症で救急搬送される方が年々増えています。

全国的に救急車の出動回数は右肩上がりに増えており、熱中症の傷病者が増えたことも一因に挙げられているのはご存じのことでしょう。

そんな熱中症を防ぐ方法のひとつとして、「暑熱順化」が注目されています。

そこで今回「暑熱順化」を解説していきます。

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「暑熱順化」とは?

暑熱順化とは、暑さによるストレスを繰り返し受けることで、暑い環境で体の負担を減らすような適応が生まれることを言います。

簡単に言うと、暑さに適応するに人は汗をかきます。

汗は、汗をかくことにより、体表面を濡らし、その水分が体表面から蒸発する際に身体から気化熱を奪い、体を冷却します。

当然、暑いときには汗をかくのですが、暑熱順化をすることで、より汗をかくように体が適応するのです。

暑熱順化の効果

  • 発汗率の増加
  • 心拍数の抑制
  • 体温低下
  • 循環する血液量の増加

暑熱順化をすることにより、体温調節が効率的になるのです。

通常であれば、梅雨から初夏にかけての気温の上昇に応じて自然と暑熱順化が行われますが、近年5月にも30℃を超えるときがあり、意図的に暑熱順化をすることが注目されているのです。

消防士は熱との闘い

消防士は「暑熱順化」の達人といえます。

その理由は、消防士の装備にあります。

火災現場で炎から身を守るために、防火衣、防火ヘルメットを着用、さらに呼吸器を背負って現場活動をします。

炎から身を守るために、肌の露出は極端に少なく、さらに動きにくく、重たい装備を身に着ける必要があり、かつ真夏での出動も当然あるのです。

消防士は熱中症リスクが高い中で活動しなければなりません。

そこで、春先から「暑熱順化」をすることで真夏の活動に適応するのです。

消防士の暑熱順化・・・その方法

暑熱順化は、60~100分前後の中強度運動(深部体温を1℃以上上げる)で、期間は7~10日間掛けて実施します。

暑熱順化獲得後は、1週間に1度順化のためのトレーニングをすれば順化反応が保持されるといわれています。

そこで私たちは、本格的に暑くなる5月上旬で暑熱順化完了。

その後は9月終わりまで保持のための順化トレーニングをする予定を立てて、暑熱順化を実施します。

順化期間(~5月上旬)

  1. 防火衣を着て、筋力トレーニングを実施する
  2. 防火衣を着て、ランニングをする
  3. ランニングの時間を少しずつ長くし、最大60分まで延長する

※脱水や熱中症には注意し、年齢や体力面に考慮して実施する。

保持期間(~9月下旬)週に1回最低限実施

  1. 火災出動に準じた装備で火災戦闘訓練(約15分)
  2. 呼吸器を下ろし、防火衣、防火ヘルメット着装状態で、片付け(約15分)
  3. 防火衣、防火ヘルメット着装状態で、振り返り(約15分)

このような順化スケジュールを立て実施しています。

暑熱順化の方法は

消防士の暑熱順化の紹介をしましたが、すべてをまねできるわけではないでしょう。

そこで、一般の方にも取り組みやすい方法を考えてみました。

ポイントは

  • 徐々に体を慣らす
  • 負荷を増やしていく(時間、暑さ)
  • 予定を立てる

汗をかく方法(深部体温を1℃以上上げる)であればなんでもよいです。

例えば、

  • ランニング
  • ウォーキング
  • サウナ
  • サイクリング

そこに、少しずつ時間を長くする、厚着をして暑くするなど工夫をすればより効率的です。

初夏にかけて徐々に気温が上がるのでそれを見越した予定でもいいでしょう。

暑熱順化は、体の適応能力を引き出す方法

今回暑熱順化を紹介しました。

消防士は暑熱順化を計画的に行うことで、真夏の火災現場で活動できるようにしています。

急に暑くなるとすごく暑く感じ、体調を崩したりするものです。

事前に暑さに慣れておくことで、急激な気温上昇や真夏でも熱中症になることを防ぐことができます。

暑熱順化を知り、少しでも熱中症患者が減ることを祈っています。

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